たけのこ
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市場で首を平らにひきのばした
音がみだれあう青

鳥を目で追いながら
自分も 空がとべる
もう 浮かびあがると
信じられなくなった日のこと
何となく思いだしている

からのポケットで
指をとじたりひらいたりして

露店のひろがりの下で
水脈が涸れるにおいをたてる

踏切をまもる影や
浮き草でおおわれたお堀
空き家のおそろしさから
逃れられたはずなのに

私がわたしであるうちに
消せないことはあまりにも多い

何処から どの様にして来たのか
うぶ毛に指をはわせ
まだいのちあるうちに

ことばを減らしてかんがえる
皮をはいだたけのこを茹でる





自由詩 たけのこ Copyright soft_machine 2024-04-09 15:45:08
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