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使い古した油の匂いがする路地
使い古された金を貰う為に立っている俺
壁は字が書けない連中の絵が塗り重ねられていて
食い物だったものの悪臭もしている
俺に兄弟がいて家庭があることは誰も知らない
そもそも名前が必要な人間が存在しない街だ
道行く皆が目を開けて眠っている
より正確に言うならば人生の悪夢に昏倒している
罵倒を歌だと心から信じた歌うたいが子供の将来を脅かす
妻と実子には聴いて欲しくないが真実だ
嘘は吐けない
あまり饒舌じゃない方を装っているのはそんな歌よりも
よっぽど世界を憎悪するような詩を書く俺の所為だ
皮肉と嫌味を言った時の吐き気は安酒よりも悪酔いする
本心を正直に話すと大体の客はげらげら笑うから
今の仕事よりよっぽど金になるんだろうな
使い古された言葉を振り下ろしてあなたの日常を殺す
間伐材みたいに売り飛ばされるあなたの時間が
ちっぽけだとは言ってない、俺も、他の誰も
耳を塞ぐ事が難しいんだよ、聞こえないのと同じようにさ
朝が来るまでにその年端も行かない娼婦みたいな目を何とかしろ
俺を見るな


自由詩Copyright 303.com 2024-04-08 21:23:17
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