火と風と
ヒロセマコト
広場では若者たちが
燃え盛る松明を投げつけ合って
それを眺めている紳士たちの顔は
夕闇の中 脂ぎって光っている
商売人は屋台を出して
売り子は声を張り上げる
稼ぎ時を逃すまいと
仕入れ係は休む暇もない
役人は入場券をもぎりながら
今年の税収を予測する
新聞記者たちもそれ以上のことを
書こうとはしない
人々が去り 夜が明けても
松明は燻り続け
朝焼けの空に煙がたなびく
亡き人々の弔いのように
自由詩
火と風と
Copyright
ヒロセマコト
2024-04-08 19:41:23
縦