故郷
たもつ



団地に風が吹く
床屋のおじさんが
大きな欠伸をする
口の中で夏が過ぎていく
金魚鉢が宇宙を漂っている間
友達の一人は
セメダインでおかしくなった
ベランダの無い人が
ベランダを買い求めて
列に並んでいる
ひまわりのまま眠る
午後は幽霊になる





(初出 R6.4.7 日本WEB詩人会)




自由詩 故郷 Copyright たもつ 2024-04-08 07:50:19
notebook Home