花曇
あらい
町並みの軸は摩耗する
その浅瀬の透明な温い水は塩辛いものだ
ジグザクのうそを指折り数える
見知らぬ場所であれ不自由な語尾にのせる
小骨のかたちを定めるように游ぐばあい
仕切られた裏を愛してあげることにする
なにもないから、じぶんで抱いて
白檀に造花を、なんて灰をおとして
吹かしている、喧騒ばかりを煙にまく
気儘なだけで なんの歴史もありません
褪めるばかりの騙りといいわけさせてください
なにをどこでどうしてこうなったのか
ひとひとりの圍が整然と並ばっている
ばかだなあ、漏らしてみた(余りにもと置く。)
色白の記憶から指先でぬぐうようにして
拾った憐憫。くちごもる躯という連絡船は
いのちという理屈がねじ込まれるあたり、
けれどむき出しの蒼天、輪郭が崩れていくのを
その偽薬、おもえば生か死か箱庭は斜面
黙って見過ごせばいいのに微酔のさま
剥離した余剰なものが穴から溢れたものと
ゆめでもなく、致死量を浴びた
無地に花と折る、咲う――劣情。賭して息吹
もしゃくしゃすっから、投げ出せず震えてんのか
かけ狂うじてしまった桜色にこうして
ぐだらぐだらとのさばる、眞砂のうつわでは
ヒカリの状態で濡れている。この弛んだ鍵の束
求めることなどただ、漉いた部分から錆びて
落ちないように埋め尽くしてしまいたいだけで
染み込んだままの微熱と富んだトビラがある
ふくよかな春風は強く背を押しては
すっと燃え尽きてしまうもの
掬いきれずに薄明、ここまできたけれども
くだらないなぁ こりゃ地獄の空だ
あんた生きているんだろう
じゃあな 花筏、それが凡てだ
意味も形も知ったところでなんも変わらない
帰ることが成らない、流れもの 総ては明け離れる