残照、春の
ねことら


長い残照
区切られた間隔を、みていた

緩やかな光と、溶け残ったかたち
手を触れれば、それは
ぬるく指の跡のまま、ほどけた

息づくということの、体温を
そばに、頼りない拍動の
一つ一つを知った

それでいいから
その速度を、愛して、いって

ひろうように息を
星は低く、空は薄く
この言葉ひとつ、輪郭をひからせて
この言葉のひとつの輪郭を、

透明な春の空気は
眩しいくらいに、うちつけて
転がった体には
左手を、やさしく
差し伸べている










自由詩 残照、春の Copyright ねことら 2024-03-30 19:00:25
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