春のあらし
soft_machine
丘の上で気づく すっかり囲まれている
撫ぜられ 肌が一緒に軽くなっていった
雨を逃れ
壁に守られていても
風の群が頼もしくひびく
痛みの外で 佇んでいると
何故かしらず 異様な興奮に包まれもする
苦しみが去った後
声を消した青空が
鳥の翼をくっきりと磨く
今年の 春の訪れを告げる声が
木々を
私ごと
力のかぎり揺する
ベランダはひっくり返り
猫も雷ごと発火した
誰が傍にいてくれようと
黒く 恐ろしい夕ぐれ
そのまま夜が来るはずだった一瞬
不意に 雲が途切れて見せた
隣のアパートを
もも色に染めた