花見
たもつ



指先から
こぼれ落ちていく
あなた
残り香と
囁き

名前を書いただけで
手続きは簡単に終わった
繰り返される
日々も
生活も
日常も
時代という言葉に
擦り減っていく

儚さだけで
生きてはいけない
それならばせめて
最期まで燃え尽きて
消えろ

わたしもまた
あなたの指先から
こぼれ落ちていく
間際に二人で見上げた
それはきっと
咲き始めたばかりの
桜だった





(初出 R6.3.26 日本WEB詩人会)



自由詩 花見 Copyright たもつ 2024-03-27 07:24:44
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