骨を噛むようにして、吹く
竜門勇気


なにもしなかった夜の
とってもすてきなくらさ
むかし作られた仕掛けを
さがしかけてだまった

ひろばに人が にさんにん
星をみあげてしゃべってる
さっきたべたファストフードに
祈っているんだとおもう

ウジのわいたねこの死がい
ふかいふかい黒い穴
みみをすませて
もっとすませて
きこえる

友だちがいない町の
駅のベンチのうえで
ぜんぶのポケットを順番に
うらがえしてわらってた

駅員は今朝から不在
かたい帽子だけが
向かいのホームにならんでて
リモコンか何かの中身みたいだ
葬列の残骸みたいだな

すごくつらい気持ちで
花を一つもった人が
たくさん、今日、ここにくるんだろうな
この帽子の前に、花が一つずつおかれるんだろうな
ぼくはその時、そこにいないんだろうな

ウジのわいたねこの死がい
六時に来る最後の列車
むかし作られた仕掛けを
さがしかけてゆびを組んだ
骨がしろい
息をしろさの内側へ
てのひらに息を
いのりに息を



自由詩 骨を噛むようにして、吹く Copyright 竜門勇気 2024-03-26 22:57:51
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