都市の空白
soft_machine
ひんやりと ビルの光の壁に沿って
次つぎ沈んでゆく白イルカ
隙間なくガラス 張り詰めた大理石
仮託して久しい本能
暗闇に光るコバルト毒を呑み下し
冷却する 豊かなゴミ色とりどりの儀式に
突き放した魂の交流があって
指さきで消灯する命もあって
皆でひとつの破裂音を聞きながら
向けた注意は一瞬で次の何かへと
合成語をたたきにした陳列棚に列ぶ聲を
カウンター越しに注文し
口に放りこむ姿キメた都会のけだもの
反吐まき散らした
電信柱と抱き合えば
耳が捉える 蛍の輪唱
ブルーリバーで建前る
宇宙は有るのに中心が見つからないと泣いている
君は 帰りたがっているのだろうか
風の 星の欠片から生まれた記憶が
排水溝なんか覗きこんでいると蘇り
空白に咲く花が こちらを覗いている
鳥 翼ひろげ 町 傘ひらく
海が狙っている 人が阻んでいる