人生をする前に
ぼんやりと生きてしまった
そのぼんやりが
いつしか人生になってしまった
いつだって間違ってきたし
正解などわからないまま
年老いて来てしまったが
正解ばかりを選べる人生など
存在すらも疑わしい
この日付に とおい春に起こった悲劇を思い
それにあらためて頭を垂れていると
こんな季節に何をしているんだという気持ちになってくる
そしてあらためて 人生をすることの思惟や
苦しさや淋しさが 表面に浮かび上がってくる
死なないためだけの人生を
あまりにも長く生きすぎた
これからはきちんと人生をしなければ
そう思い まだ残る寒さに
頑なになって開こうしないでいる花の蕾を
ぼんやりと見上げる
*妹の死から二〇年目に起こった失敗に際して
(二〇二四年三月)