ミツバチ
soft_machine
またお前が溌剌として空間を行き来する季節が来るよ
まだ蜜はまばゆい重みを湛えるまで熟してはいないが
やがてあらゆる明雪を終わらせる風の便りに指を開き
柔らかな触角で時が経てる悦びを弛まなく識るだろう
耳の奥に谺する一筋の裂音は凍河の目覚め
髪をすすぐのは置き焼きされた灰の始まり
息つく暇もなく現れるあちらこちらの花畑
その心地よさに瞳は奪われるが全ては巡る
この土地の味が他とはどうして異なるのかを
そこの誰かひとりに知っておいてもらいたい
退屈を知らない子どもになら託せるだろうが
大人から択ぶとなるとなかなかに骨が折れる
だから私には遂に分からないのだ
お前達のどれが本当のお前なのか
まだ一匹の蜂なのかも知れないし
既にひとつ群かも知れないことが