勇気
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ビニール被された闇が裂け
あくびの煙くささに唇が醒める
驚くほど身になじむ
布団の凹みの熱移動
ばらばらにほぐされた手足も次第に整われ

目が明けてみると
あたり一帯ふわふわしている
ふわふわの貨車に押しこまれ
ふわふわの美姫に顎でつかわれ
飲み下した蜜が胃に漂うふわふわ

このふわふわを堪えているうちに
かちこちに固まって
またふわふわに飽きるようなら
とろとろと溶けて
それでも固まりきらず溶けきれずにいるもので
今をどうにか切り拓かなくてはならない

右目と左目の入換えがすむと
錠がおちる音に流れを断たれ
透明な網に拐われてしまうのだとしても
たったひと欠片の勇気をふり絞り
もう寝床から去らねばならない





自由詩 勇気 Copyright soft_machine 2024-03-20 12:49:31
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