夢十夜 ⑤
レタス

ぼくは女だった
夜に二人の侍女を従えて
杉の巨木が立ち並ぶ参道を歩いていた
崖に欄干がかかっていて
石窟が幾つも空いていた
ある石窟の前に来ると
礼拝をして中に入って行った
老人が一人
仏画を描いている
後どれくらいかかるか聞いてみると
二年はかかると言った
侍女のひとりが籠に桃を抱え
老人に差し出した

石窟を出ると巨大な円盤が様々な光の点滅を放ち
円盤の中に吸い込まれた
どれくらい経っただろう
何処までも広いグラウンドのような処に着いた
空は青く透きとおり
涼しい風が吹いていた




           初出 日本WEB詩人会 2004/03/13


自由詩 夢十夜 ⑤ Copyright レタス 2024-03-13 07:25:59
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