空へ
秋葉竹





夏に近所のお祭りで
金魚を二匹掬った

いっぴきじゃなくにひきだったので
すこし感傷的になって
あくる日会社をサボって
ちっちゃな金魚鉢まで
買ってしまった

すぐに空になるかなと
想像していたのとは違ってて
なんだかじょうずに育てることを
楽しんでいるじぶんが
すこし意外だった

どこかがギャンブルみたいかなと
ちょい悪ぶって
優しさを焦がしてみたりする

いつのまにか
生活のいちぶと化したころ

かすかな不安が眠りを妨げ
そしてやっぱりその不安どおりの悲劇は
早朝の水面にあっけなく
ぷかぷか浮いてくれている

にひきとも消えてしまった
寄り添ってぷかぷかと浮きながら
にひきとも消えてしまった

空へ









自由詩 空へ Copyright 秋葉竹 2024-03-13 00:24:52
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