空へ
秋葉竹
夏に近所のお祭りで
金魚を二匹掬った
いっぴきじゃなくにひきだったので
すこし感傷的になって
あくる日会社をサボって
ちっちゃな金魚鉢まで
買ってしまった
すぐに空になるかなと
想像していたのとは違ってて
なんだかじょうずに育てることを
楽しんでいるじぶんが
すこし意外だった
どこかがギャンブルみたいかなと
ちょい悪ぶって
優しさを焦がしてみたりする
いつのまにか
生活のいちぶと化したころ
かすかな不安が眠りを妨げ
そしてやっぱりその不安どおりの悲劇は
早朝の水面にあっけなく
ぷかぷか浮いてくれている
にひきとも消えてしまった
寄り添ってぷかぷかと浮きながら
にひきとも消えてしまった
空へ