解熱
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ここ数日で失った総熱量が
まもなくプランの上限に達するという通知は
私の視界のすみずみまで霞ませ
内蔵が熟れた
あけびの実のように黒ぐろと蔵種した

発熱で疼く思考の芯を
地下で砥がれた流水に頭ごと投げいれる
魂が剥ぎとられるような痛みに
薄い氷の世界の春をさがして歩く

いにしえの氷室療法によれば
白夜の下しぼりたての乳を醸した酒に
氷の十字架を浮かべあおるのだそうだ
勢いよく回転しながら
叫びながら飛び降りながら

その開かれた口に入れ解熱するのだそう
僅かな震えでもきつく縛め
瞳の中で凍らせた造花を握りしめ
粉々に散らすのにどこか似ている





自由詩 解熱 Copyright soft_machine 2024-03-08 20:43:53
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