聖列がゆく
そらの珊瑚

かつて幼い女の子の髪を結んだリボン
うすももいろでつるりとしたサテンの手触り
持ち主をなくして
しょげかえっているかといえば
案外そうでもなくて
虹へ続く路を
しゅるっしゅるるる
先頭でたなびきながらゆく

くたびれたクマのぬいぐるみ
せっせと集めたビンの王冠
浜辺で拾った硝子石
黒い羽根
落書きだらけの絵本
なしのつぶてのつぶて
ネコを失くした銀の鈴
音階のないおもちゃのラッパ
お昼寝用のほつれかかった黄色い毛布
なんでもだれかれも列に続くのを見送れば

あめあがりはほんのりあかるく
うっかりするとわたしもそのあとを
おいかけてしまいそうになる
わたしを失くしたわたし
ひとつの水のつぶになって


自由詩 聖列がゆく Copyright そらの珊瑚 2024-02-21 09:34:48
notebook Home 戻る  過去 未来