それのほか みちはない
あらい
うつろ灰色の翳に高尚なまん月がまろびでる
象牙すすけた草原のときは、まだまだ みちなかば
いっそう留めた錯覚を立ちのぼらせつつ嫌がりました
ふとあなたは、という穏やかさだけで
ただ顔を曇らせたすがたで
どこにもありゃしないが、と埋め戻して
首を振るばかりの無言劇のようだが
その日のうちに膨らんできただけの
そうそう錆びた咲き始めを知る
ふと呼び戻しそうになって示し直して
一番星を飾り付けて待っていたとき
倒れかかってきたそれを
振り払って 今 握り返した
どこか祝日を食いつぶす膝の上の。つぶらなきみ
すこし濡れた前髪、のびた手足だけがいきてくる
ぼくはそぞろを気取り ネオンの命日の傍を通る
ね、何度も便りに描いた へたくそな羅針盤を片手に
かたわらに 消えかかりのカンテラなどを 携えながら
隣街まで歩こうかとおもい、投げだした夢でした
さてあなたは踏切を渡るとすぐにあらわれる
ひつじ雲はほころびた花びらの香りを尋ねた
そこには赤い時計店
タグの付いたエゴの元、空回りとソラシドを均す
近く鳥居は走馬灯に重なり
いまや、待ち構える とおくかすかに厭う
幼くみえるかたちが、蝋染に揺するとみせる
このつばさをひろげるには
――また、微熱のまま
かたちを ころしたい
あのころから抜け出せずに 茜空に追い詰める
真直ぐとのびる反薄明光線は、いよいよ撫で回す
輪郭も影も色も香りも、黴臭く 真近よりこぼれる
腐りはじめてからそこで停止したじかん
視界に収まる程度すら引き伸ばされたいま
己の手が届く範囲、
甘くふやかした天の格子
塵や埃と、叫ぶように
見あたらないから縋っていた
つきかけはしをのぞむ どこか 帰りたいとおもいながら
希望は雲の空の影だと 刳れるのだと、日々手探りながら
かなぐり捨てるまでが とかく難しいもの
ものですから いつかの
ただ星を潤ませた潮気で
そのうち溢れて生きた
そうそう錆びた咲き始め
かれゆくばかりの樹珠なぎ
せつなさは少しよろけて
つまるところ 息を飲むほどに 光をうんでは、しぬ
翠のトンネルをひたすら征く。ペガサスを生む、いま
泣きましたか
じかんを 潰していた。虚構ばかりが
ムゲンなのかも 痴れなかった
苦言騙るより なまくらな坂道で
すれ違うよるを得て
いまはただ かいなでる
ただただゼンマイ仕掛けの旻はしずかに幕をおろした
想像より 堅く しずかに降り積もる とどかない高さに
知り得ない遥か と置いて あるものを 探していた
永遠とは小刻みに震え こもれびを散策する 史実なのか
しらない顔だな、
となにげなく打刻された福音
あいだがらに劣ると
わらってみせるつもりもないが
わたしというものも あなたということも
だれも かれも なんも なかったかのように
みな 未来に、ありたかった
そしてそれだけ
見えざる 時折、吹雪いたかよう
浪漫がまわしものだ