地獄の日
はるな

明日になれば休みだから、汚れた布を洗うこともできるし、床を磨くこともできるし、冷蔵庫で賞味期限を切らせつつあるあれあそれをいっぺんに捨てることもできる。捨てることができる…って思うのは確実な希望。ここは地獄じゃない、ぜんぜん地獄じゃないって思うための希望。濡れた犬みたいな目をするなよ。捨てられないじゃないか。新しい闇を引きずってくるなよ、昼間なんだ。そうやって、あるものと無いものを混ぜ合わせないでくれよ。手をとめて、耳をひらいて、聞いてくれよ。でもだめなんだ、って君は言う、だめなんだ、止まらないんだ。そうして、潜って行ってしまう。名前が無いので、アーとかオーとか叫んでみるが、戻ってこない。潜って行ってしまった。そうするともうどうやっても捨てることができない、うろうろと穴をめぐり、残骸を拾い集め、手を汚すんだけど、もうすぐ、大丈夫、明日になれば、いっぺんに捨てることができる、って思うのだけが、思うところだけに確実な希望があるから。


自由詩 地獄の日 Copyright はるな 2024-02-13 12:35:29
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