記憶
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こびりついたあなたの匂い
幸せな微笑みを浮かべた
失くしたもののない人を連れて
海辺を一緒に歩いていく

洗濯洗剤を変えることは
大体人生を変えること
あなたによく似た犬が
犬によく似た飼い主を連れていく

海が私を生んだもの
海を背にすれば私の家
仰いだ雲の上に私の庭
翼が生えたと苦しみもがく人の庭

恋はたった一度きりでもいい
でも多分たった一度きりが
何べんもやってくるのだと思う
初めて見る波のように

夜を越えましょう
星や砂のように果てしなく
あなたの中にある問いに答える
理解がやってくるまで

それさえあれば解決すると
斬り付けられて奪われる
殺してまで得たいものですか
伝説の聖剣みたいに、愛も

海の全てが雨になって
河という河が溢れ返っても
流されない城を築いて
みんなで暮らしませんか

海を渡る鳥は
千年前に滅んだ路を選ぶ
翼が導いた記憶を
疑うことができない


自由詩 記憶 Copyright 303.com 2024-02-12 07:42:30
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