現の底*
ひだかたけし

現の底から
浮かび上がる
思い出の予感に
陶然と
現の過去の遠さが
俄に近く狭まって
古代の太鼓の打刻音
木霊となり鳴り響き
底の底に横たわる
わたし独りのたましい
融通無碍に踊り出す
進む夜の蒼き時
深い眠りに揺蕩って
ひとつ普遍開示され

思い出の予感に込められた
わたし独りのたましいが
ふと垣間見た普遍の次元
いつか必ず行き着く我
解き放たれて 深まって
いつか必ず澄み繋がる処









*『夢の底』より改作


自由詩 現の底* Copyright ひだかたけし 2024-01-28 16:29:47
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