十四行のシーグラス
トビラ

透きとおった言葉を口にして
目をそらした無意識の砂浜へ
甘露は溶けてかんかんの椅子の上
赤らむ空気を肺に吸い

ウミウシのあんぽんたん
原罪を浄化したからって
洗われた皮膚がきれいでも
こっちが恥ずかしいじゃないか

もう形態を保つのがむずかしいね
養殖されるままふくらむ目方が
補色を含む波になでられる

君はきっと見ていたんだね
幼獣が朝凪のなかを
よたよたと歩いていくところを


自由詩 十四行のシーグラス Copyright トビラ 2024-01-25 08:16:38
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