空白
トビラ

内蔵が結晶化する
ラピスラズリの夜
膵臓に付随する
未発達の器官は
白鳥の飛来を予感する
湖を遠く離れ
過去世から持ってきた水色の宝石

 泣いたって
 聞いたって
 わからないことばかり
 
『気持ち悪い』
『そんなの信じてるの』
『だまされてるよ』

親切って辛いんだね
誰かを信じるのはとても怖い
多数決をとったら
処刑される罪人の心持ちだ

思い出が歴史の教科書からズレる
嫌いだって言うことが道徳で
一億二千万人から一円を集めたら一億二千万円で
一億二千万円を一億二千万人で分けたら一円で
簡単な算数すらうまく使いこなせない
ただ目を閉じてお腹のなか光る
水色を感じて空を想う

 社会的になんの価値もない
 本当はちょっとくらい
 認めてくれてるんじゃないの
 なんて思ったりしても
 結実しないがんばりに
 焼かれても
 また目を開く自分がいる

聖書にも
仏典にも
記述のない
水色を知っているって
感じるから

 今日も泥のなか
 深く深く笑って
 空を想うよ

ああ、そうだ
思い出した
ただ笑う
そのために
生まれてきたんだっけ


自由詩 空白 Copyright トビラ 2024-01-21 00:22:21
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