熱い箸
凍湖(とおこ)

焼き場で
まだ熱い骨を拾いながら
生きててえらかった
と言う
レエスの縁のハンカチが
小さなポケットからはみ出して

花に埋もれたあなたは
びっくりするほど小さい

いつ終わるのかなんて
知らなかったから
この世でいちばんうつくしい祝の膳が
箸もつけられず
埋もれたままで

いまあなたを拾う箸を握る手がじんじんと熱い
冬の切るような風のなか
とうぶん指先は赤いまま


自由詩 熱い箸 Copyright 凍湖(とおこ) 2024-01-17 23:01:52
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