二階席
リリー
殊更に云うほどの事でもないが
冷めたフライドポテトは
不味い
二人用テーブルで
アイス珈琲になってしまった
ホットドリンクカップを口へ運びながら
今ここの この
いかばかりなる旅空
高い梢の先に
貫かれ ひょうひょうと鳴る
冬の心
ぶ厚い硝子の壁で隔たれる
いつもの駅前通りはモノクロームで
サイレント映画の様
ああ、私は大丈夫だろうか
iPadキーボードを滑る指先に
流れるものは
蒼く張りつめた
冬の気に
きんきんとはねかえる
細く鋭い 呻き
我がおこないの行届かざりしを恥ず
心は 強きにあらず
ふとある時 瞬時に砕け散るにあらずや
席を立ち
「サンキューボックス」へ傾けるトレイから
素直になる心まで転がりおちて
階段降りる 大馬鹿者よ