漂流
たもつ
電子レンジを開ける
中には海がある
波間にレンジが漂っている
泳ぐことは苦手だけれど
意を決し飛び込む
君との二人分の
ご飯を温めたかった
何とかレンジに辿り着き
扉を開ける
おかずをテーブルに並べ
腰かけている君の
背中が見える
いつの間にか細くなって
今にも消えそうな背中
すぐ行くからね
と声をかける
ふと振り返った
君の視線の先に
僕がいるはずもなかった
(初出 R6.1.8 日本WEB詩人会)
自由詩
漂流
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たもつ
2024-01-09 07:04:20