結婚の感覚
馨
十五年続いた結婚は
ロマンチックじゃない
愛してるもなければ、きゅんともしない
十五年続いた結婚は
穴の空いた靴下と伝線したストッキングだ
みっともないところもだらしないところも容赦なく曝される
十五年続いた結婚は
炬燵だ
脚がぶつかって邪魔だと思うが
一撮みの嬉しさもあり
お互い遠慮がちに温もっている
十五年続いた結婚は
履きふるしたスニーカーだ
新品のときは窮屈で靴擦れができるが
段々、足にフィットして丁度良くなる
十五年続いた結婚は
肉じゃがだ
派手さはないけど安心する味
結婚は我慢と忍耐がなければ続かない
それでも胸の奥には
小さな炭火がじんわり仄かに瞬いていて
私をゆっくり暖める
この微かな灯火が消えない限り
私は日々を重ねていけるのでしょう
いつか還るその時まで