結婚の感覚

十五年続いた結婚は
ロマンチックじゃない
愛してるもなければ、きゅんともしない

十五年続いた結婚は
穴の空いた靴下と伝線したストッキングだ
みっともないところもだらしないところも容赦なく曝される

十五年続いた結婚は
炬燵だ
脚がぶつかって邪魔だと思うが
一撮みの嬉しさもあり
お互い遠慮がちに温もっている

十五年続いた結婚は
履きふるしたスニーカーだ
新品のときは窮屈で靴擦れができるが
段々、足にフィットして丁度良くなる

十五年続いた結婚は
肉じゃがだ
派手さはないけど安心する味


結婚は我慢と忍耐がなければ続かない


それでも胸の奥には
小さな炭火がじんわり仄かに瞬いていて
私をゆっくり暖める

この微かな灯火が消えない限り
私は日々を重ねていけるのでしょう


いつか還るその時まで



自由詩 結婚の感覚 Copyright  2024-01-08 09:24:26
notebook Home 戻る