君色花火
ミナト 螢

夜空を切り裂く光が
万華鏡みたいに泣いて
涙も乾かないうちに
新しい顔をする

打ち上げられた花火を
こんな風に見ている君は
どこかへ行きたいのに
どこへも行けないまま
僕の夏に飛び込んだ

君を守るとか
翼じゃないから
言えないけど

僕の隣に君がいる
言葉を選ぶ時間が
ゆっくりになるように
歩幅を合わせながら
揺れる横顔は
ひとつしかない

君はまだ花火を
見ているのかな

溶けたアイスクリームに
舐められたくはないから

人混みの中
はぐれないように繋いだ手は
ドドーンという
花火の音とは違う
君の鼓動を聞いている


自由詩 君色花火 Copyright ミナト 螢 2023-12-30 12:34:24
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