この世に錨をおろしたまま
そらの珊瑚

 もやぐ朝 

夜が朽ちて
朝が生まれる
霧に覆われた街は
港へと変わる
赤い太陽は
無音の出港の合図

けれど想い出は
いつでも切ない
胸に
錨をおろしたまま


 さがしものはなんですか

探し物には透明の足がついていて
探す人から逃げている
とはいえ
小さな家の中でのかくれんぼ

そろそろ遊び疲れる頃と思うのですが


 死語

ワンレンはワンチャンスレンゾク
ボディコンはボディコンプレックス
死語は
生まれ変わる


 薬缶

ピイーー
やかんから笛の音がする
逃げ惑う酸素が音になる
火喰鳥のさえずりようにも聴こえる
報知器の音にも聴こえる
足をもつれさせながら
急いで駆けつけると
そこは

戦場だった


自由詩 この世に錨をおろしたまま Copyright そらの珊瑚 2023-12-29 09:18:32
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