珠玉
レタス
ふたりで拾った
透明で硬く紅い卵
ぼくが生き物係になって
手のひらで暖め孵化を待っている
何が生まれるのかわからない
虫眼鏡で眼を凝らしてみると
真ん中がトクトクと脈動している
何が生まれるのかな…
ほら 見てごらん
きみは深呼吸して虫眼鏡を覗き込んだ
トクトク トクトク
ほら、生きているだろ
うん。何かが生きてる
火の鳥かなぁ…
いやだ!
永遠の送り人にはなりたくないよ
そうだね永遠に死ねないのはいやだよね…
ぼくはもう暖めたくないな
科学室の液体窒素に入れてしまおう
卵は脈動を止めて石化した
ぼくは飽くことなく
きみに捧げる卵を研磨する