have nothing

寂れた街頭の下で踞り

嗚咽混じりに初めて涙を流した

無関係の喧騒の中で

動かずともよいと何かが囁く

その頃はいつも歌が生まれた

言葉を持たぬ血を捧げながら


ゆっくりと人は歩き始める

他人の時間に追い付くために

無表情な関係性の中で

途方もなく間違っていく

どうにも上手く立ち止まれず

歌の泉がいつの間にか枯れている


いつしか大人になっていた

何も持たず生まれたことを忘れて

暗がりで泪を流した日々は

一欠片の勇気が紡いでくれた時間

心だけを持ち得る景色の中で

またいつか詩を歌えたらと思う


自由詩 have nothing Copyright  2023-12-25 00:31:29
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