陽の埋葬
田中宏輔
水裹み、水籠り、水隠る、
──廃船の舳先。
舵取りも、水手もゐない、
──月明に、
水潜り過ぐるものがゐる。
新防人の亡き魂の
──その古声に目が覚めて、
水潜り過ぐるものがゐる。
呼び寄せらるる水屍骨、
似せ絵のやうな
貌。
──その貌は、亡き新防人に、瓜二つだつた。
あなたが水の中を過ぐるとき、
わたしはあなたと共にゐる。
(イザヤ書四三・二、歴史的仮名遣変換)
わたし?
──わたしは、長夜の闇に、夢を見てゐました。
さうして、
毎日毎日 この道を 通ひました。
(『全国方言資料・第三巻/東海・北陸編』日本放送出版協会、歴史的仮名遣変換)
マイ ヒニ ヒニ コノ ミツ カヨタ
海胆も、海鼠も、
コノ ミツ カヨタ
タ
、
剥がれてゆくものがある。
ひとりでに剥がれてゆくものがある。
──もう、それは、わたしぢやない。
、わたしだつた。
はぐれた鱗がひとつ、
龍門の下を、
潜つて、ゆ
、ゆき
まし
た
。