はるな



おかしな箱だなと思ったところで目が覚める
わたしは眠っていたわけではなかったのだ
かわいいあの子がスカートにスープをかけられてるときや
足が遅くて詰られた子が来なくなったとき
集合時間をごまかされてひとりぼっちだったときも
帰ればかならずおそろしいきょうだいがいて
なにからなにまで逆剥けにされることがわかっていても
眠っていたわけではなかったのだ

けれども気がつけばこんな箱のなかにいて
出ていくことも居続けることもかなわないと
なぜだかそうおもいながら目が覚めている
覚めている、覚めている、そのつぎに動かさなければならない
手や足を、見つけなければならない
ぼんやりと
夢を片付けているところに
きれいに飾った女が
あと9分しかない
と言って乗り込んでくる



自由詩Copyright はるな 2023-12-08 12:32:08
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