庇護
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正しさと罪とのあわいを
行きつ戻りつする心
人と人との戦場を抜けて
生き残ったことが
祈りを証し立てする
やって貰いたい仕事があるんだよ
皆そう言って笑うので
私は嬉しくなって
まだ死ななくてもいいですか
と聞き返したくなるのを
こらえる
雨に濡れた月
薔薇の花弁に降る光
閉じた目の奥で
叶わなかった願いが開く
そっと愛を告げる
神様の歌
光と影の彩なす世界に
墓は天使の代わりに置かれた
遠い日に
きちんと死のうと歩いていた亡霊を
生きていた頃の形に触れた
私はずっと
その手を人と呼んで
泣いているだけなのかもしれない
自由詩
庇護
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2023-12-08 07:55:07
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