銀河通信
46U

北斗七星が傾いて 絵葉書をこぼす
ひらりと指でうけとめる なつかしい君のことば
仙女の写真にうすく 桃の果汁の染み
あいかわらずの筆跡に 白い歯を思いだす

君よりずいぶん遅くに 僕は生まれてしまった
太陽と月のめぐりに ぐずぐず乗り遅れた
ずっととおい場所で 星のように瞬く
君のひかりを追うことが 今生の僕の旅

ねえ また呼んでよ
リゲルをつついて フリスビーを投げようって
ねえ また呼んでよ
フォーマルハウトの綿菓子屋は きっと今年もやってるよ

シチリアのれもんをかじりながら 返信をシミュレート
おぼえたてのイタリア語で ちょっと口説いたりしてみる
書きつける君の名は 女神のそれと同じだから
宗教画の切手を キスみたいにぺたりと貼る

「アラビアの呪文をかじりながら 中国で修行中」って
いったいこの葉書に どんな返事を書いたものか
ところでこの仙女の名を 君は知ってるのかな
僕と同じなんだよ おたがいガラじゃないね


自由詩 銀河通信 Copyright 46U 2023-12-03 13:11:08
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