貴女(改訂)
ひだかたけし
熱気籠るこの白い小部屋に
雨が降る、静かに 銀の雨が降る
世界を透明に染め私の意識を覚醒させ
五感の縛りを解き
浮き立つ様々な形象
この意識の最中に在り
私の内底から溢れ出る
精神の響きは踊る直観が捉え
此処に自由な人を在らしめて
静かに降り続ける雨を見ている
静かに降り続ける雨を観ている
私の魂が苦痛の肉から解放され
私の意識の視界がすっと明るみ
帰属すべき内なる宇宙が此処に在る
帰属すべき懐かしい故郷が此処に在る
理性は遂に貴女を識らなかった
理性は遂に貴女と出逢わなかった