gastronome 41-50
AB(なかほど)
微分したキャンディーは溶けて
積分した気持ちは夕焼けに
またひとりの友が溶けてなくなった夜に
泣き屋はパンを返してくれた
そのパンは固くなってしまって
食べるには自分の涙が必要だった
赤いほっぺたの頃へと続く夜が
いつまでも車窓を流れるさよならおやすみと
りんごの落ちてくようながたんごとん
お祝いに山羊をつぶした
生まれたときはとても可愛いしろだった
誰ともなく唄い始めた
少女しばし酒を醸めともに酒を醸め
誰の杯も花の降るうち干からびぬよう
そのわき立つ泡にひとひらふたひらのさくら
じんじん壺屋の水は甘かったか
久茂地の水も甘かったのか
今は酒屋の水もなんだかとても
その浜で揺れる花の種を耕した畑に撒くと
太くてきれいな大根ができる
君もやがて標準語で恋を語るようになる
玉城さんから微炭酸のような人だと言われた
生きてる証拠に少しだけビリビリとしてみた
あぁ 美味しいと 最後に言って欲しかった
とっくに冷めてしまったカップを
電子レンジに入れてその合間に
ああ なんだか生きているんだよ
明日がずっとあるような気がしてた
いつもおなかが空くように
ときどき
詩なんか綴るように