まがいもの やがて夜にのまれる
そらの珊瑚
一日がこぼれゆこうとしている
どこへ
だれの手によって
疑問符は
フェイクファーのふかふかの中で
あくびを噛み殺して
目を閉じる
ここはやがて誰の手も届かない場所になる
別府湾を切り取った
9Fの大きな四角い硝子窓
海は
鈍色をたたえたプール
波は
悲しみを載せたイルカたち
窓を横切っていく海鳥たちはなぜか
迷わず南を目指していく
遠くコンビナート群が浮かび上がる あかりを灯すあの世の王宮
見下ろせば
通りすがりの人が
影をふたり連れている
どこへ行くんだろう
いいえ、どこへも