まがいもの やがて夜にのまれる
そらの珊瑚

一日がこぼれゆこうとしている
どこへ
だれの手によって
疑問符は
フェイクファーのふかふかの中で
あくびを噛み殺して
目を閉じる
ここはやがて誰の手も届かない場所になる

別府湾を切り取った
9Fの大きな四角い硝子窓
海は
鈍色をたたえたプール
波は
悲しみを載せたイルカたち
窓を横切っていく海鳥たちはなぜか
迷わず南を目指していく
遠くコンビナート群が浮かび上がる あかりを灯すあの世の王宮
見下ろせば
通りすがりの人が
影をふたり連れている

どこへ行くんだろう

いいえ、どこへも





自由詩 まがいもの やがて夜にのまれる Copyright そらの珊瑚 2023-11-30 10:52:33
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