声の淵
ひだかたけし

遠い地平に雨は降る
逃れいく貴女の声に
憧れ募りひざまづく
この世の果て夜の底、
あの深遠な声の淵

人は産まれ生き
去ってはまた産まれ来る
それぞれが自ら造り出した
苛烈な運命を背負い
真なる人に為るために

遠い地平に雨降り続け
この世の果ての夜の底に
あの深遠な声の淵、
この世 因果の平面に
垂直一閃貫入する

 深き闇に入射する、
 ヒビキそのものと為りて。



自由詩 声の淵 Copyright ひだかたけし 2023-11-28 15:29:33
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