継ぐ手
塔野夏子

壊れた
あるいは
壊した季節
散らばる破片を
君は今は
振りむかずともよい

君が遠くを歩いているあいだに
それをそっと
継ぎ合わす手がある
月と星の光を熔いたもので
ひとつひとつ
丹念に

そうして継ぎ合わされた季節は
もとの季節より
すこし歪で
壊れた
あるいは
壊した痕跡が
夜に仄かに光るだろう

いつの日か君が
ふたたび戻ってきて
それを目にするときに
おのずと知るだろう
それを継ぎ合わせた双つの手が
静かに合わさり
祈りのかたちとなっていることを




自由詩 継ぐ手 Copyright 塔野夏子 2023-11-27 10:38:39
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