陽の埋葬
田中宏輔
少年は待っていた。
雨が降っている。
少年は待っていた。
雨が降っている。
少年は待っていた。
男は来なかった。
少年は待っていた。
雨が降っている。
少年は待っていた。
男は来なかった。
少年は待っていた。
男は来なかった。
Ⅱ
あの日も雨が降っていた。
男は少年を誘った。
少年はまだ高校生だった。
あの日も雨が降っていた。
男は少年を抱いた。
少年ははじめてだった。
あの日も雨が降っていた。
買ったばかりのCD、
ホテルに忘れて。
あの日も雨が降っていた。
また、逢ってくれる?
少年は男にきいた。
あの日も雨が降っていた。
また、逢ってくれる?
男は振り返った。
あの日も雨が降っていた。
また、逢ってくれる?
男は頷いてみせた。
Ⅲ
少年は待っていた。
雨が降っていた。
少年は待っていた。
雨が降っていた。
少年は待っていた。
雨が降っていた。
少年は待っていた。
男は来なかった。
少年は待っていた。
男は来なかった。
少年は待っていた。
男は来なかった。
いつまで待っても
男は来なかった。
いつまで待っても
男は来なかった。
雨と雨粒、
睫毛に触れて、
少年のように
雨が降っていた。
少年のように
雨が待っていた。