野分
リリー
小さな寺の鐘の音が
震うともなく
ゆれて
声を出せば
全て偽りになるに違いない
はかなさが
西山の山脈に暮れていくのを見ながら
一人歩いていると
酒場の騒音もなく
浮ついた若い男の流し目もない
野の道に
野分の吹き抜ける
野分の音に
ふと のめりこむ心
愛情に寂しさを感ずる事もあるのだ
ゆらりゆうらり野の道 帰る
きょうの月、
望月をやや欠けつつも大空渡り
激しく湧く血は無いのに
生暖かい涙の様な
味がする
自由詩
野分
Copyright
リリー
2023-11-24 18:56:44
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