面影
日々野いずる

それは強いつよいつよい日差しの影が
君を映しとり
影だけ見せる
徘徊する未練の欠片を永遠にしようと
定例の配慮のない君の名残と同じ
崩壊する清廉な心は霊園に沈み
代替できるなら生涯を捧げて
君の事をずっと歌わなかった
どこにもいる
どこにもいない
影を追う
痕は惨めに
ことばを唄うのも困難な
未熟な心だけが早って
ここにいるのは私だけだと
認めてくれたらどんなにどんなに
君と私が救われるだろう
草原の中を
裸足で走ったことなんてなかった
背の高すぎるコスモスの花畑で君を見失ったことなんて
なかった
ゲームの前回ログイン日が99日前で止まって
詞を失って歌もなくなって
私も君も失って
なんにも
なかった
涙雨なんか降らなかった
コスモスも咲いてない
五月晴れもなかった
桜も咲かなかった
竜もいないし
同じだけ
同じだけの痛みが
まだ居るって言ってる


自由詩 面影 Copyright 日々野いずる 2023-11-21 19:29:34
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