何者でもないものの魂
瑠王

天井を叩いて、
カミサマの不在を確認する
開いた空の先は
あるじを失った海のよう
空っぽの海を、
深く深くのぼってゆく

つぶれそうな肺を
握りしめるように、
吐き出した言葉は
魚の群れ ひかる、チカチカと
明るい世界がある方へ
渦を巻いて沈んでゆく


地に足をつけて、
カミサマの不在を確認する
色を忘れた秋は
あるじを失った城のよう

枯れてくすぶる灯火を、
踏みしめるように
辿り着く玉座は
だれもいない 膝をついて、
あなたは今も瞳をあげない


何者でもないものの魂は
この世界に深く深く息づいている



自由詩 何者でもないものの魂 Copyright 瑠王 2023-11-20 22:52:09
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