冬のことば
soft_machine

お日さまに焚かれて
雲さま
雨さま
じっと堪えろ

古い旗が 濡れている
港で網が 破れてる
子どもの声が 掠れてる

今朝のはじめての冬は
目をつぶった時の残像が
私が
過去から生きていることを
世界に
繋がれていることを告げ

どの星が
砕けかけているのだろうか
それとも
瓦斯が
集まりつつあるのなら

きっとそこには歌がある
光の流れが掬われた

海に沈むまいと游ぐ
潮に押し戻されまい
砂に溶かされまいと
運ばれながら想い

あそこに見えるのは
あぁ、赤んぼうの頃の私

それを連れてゆくのは
きっと老いさらばえた私

屋根が揚がる空のむこうで
紙が重ねられ
指が探り合い

そこに書かれた 想い
冬は短くて
繰り返せないことば





自由詩 冬のことば Copyright soft_machine 2023-11-18 14:44:33
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