葡萄
46U


誘惑が房なして実る
秋の夜霜に甘さは深まる
罪摘むように紫紺をつまむ
唇に触れる果皮の悩ましさよ
貴方に押し当てたたなごころの狂乱
ぷちぷちとはぜる無数の果実
ああ こんなにたやすく壊れた貴方を
闇に封じて安堵した私の浅はかさ
今宵 ふたたび出逢った貴方は
血の紅で私を酔わす
呪われよ葡萄
盃の内で
誘惑者はとわに媚笑する
 


自由詩 葡萄 Copyright 46U 2023-11-17 16:13:52
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