デイ、ドリーム、ビリーバー。
竜門勇気


今日、強く死を意識したボーイズ
今日、はっきりと死を意識したガールズ
今日、あらゆる朝に始発がやってくる
ひとつ残らず、すべての駅に
壊れた傘とこれから壊れる傘と
なんだか神秘的な小包が
がたがた揺られながらやってくる

デイ、ドリーム、ビリーバー。
一つ一つ丁寧に区切って口に出す
あのコンベアに紛れ込んで
幸せの出来損ないを本物にするために
何かを殺すために苦心する
デイ、ドリーム、ビリーバー。

今日、初めてぶっこわれた人間を目にするガールズ
今日、初めて無茶苦茶になった人間を見下ろしたボーイズ
今日、指定席があそこじゃなかっただけなんだぜ
ひとつ残らず、すべての朝が
これから壊れるために歩き出す君に
痛みを忘れるための麻酔を
ガタガタ震えながらゆっくりゆっくり注射する
奥歯が砕けるほど強く無意味を嚙む
何だこりゃ!ハッ!これじゃ元の形わかんねえな。

デイ、ドリーム。ビリーバー。
天使がここに来る想像を強く強くえがく
なんでもいい、神様か神様に準じた存在がこの生臭い真っ赤な水と
はちゃめちゃになったどこがどこだかわからない悲しみを
一度でもいいから目にしてほしい
デイ。ドリーム。ビリーバー。
一つ一つ意味を持つように祈った
眼が百あるように瞑った 二つの目を
これ以上閉じれないというぐらいにきつく閉じた

僕の言葉も思いも
どこにも届かない
言葉は震えるだけ
思いは駆け巡るだけ
そしてすべては文字になる

強く、強く、そこに死があることを意識したガールズ
強く、強く、はちゃめちゃになった人がそこにあったことを分かったボーイズ
栞の挟まれた薄い辞書が
爆風でもめくれなかった最後の一ページをゆっくり持ち上げる
ガスより軽くて空気より重い
今日は、昨日よりはしゃべれないよ
たくさんの言葉とより多くの嘆息
部屋の中で交わす文字
踝まで揺らめく重たい気体の気配を破滅的な音楽でごまかす
静かに過ごしたい。
ここはまだ始発を待つ駅だった

強く死を意識する、ガールズ
あんたのことだよ、ガールズ
強く死を意識する、ボーイズ
おめーだよ、ボーイズ
ここはまだ始発を待つ駅だってんだよ
だれもここには飛び込まない
気象情報で壊される新しさが壊す
君は壊れてるあんたは壊れてる

デイ、ドリーム、ビリーバー。
ひとつづつ区切る
デイ、ドリーム、ビリーバー。
ひとつづつ区切る
それがとても大事だ
デイ、ドリーム、ビリーバー。
そう、とても上手だよ
デイ、ドリーム、ビリーバー。
もういちど
もういちど
ぼくは君がそうやってるのを見てるととても気持ちがいい
デイ、ドリーム、ビリーバー。
救われた気持ちになる
何言ってんのかわかんないだろ?
でもぼくが救われてるんだから無意味じゃないぜ
ほら
デイ、ドリーム、ビリーバー。



自由詩 デイ、ドリーム、ビリーバー。 Copyright 竜門勇気 2023-11-15 13:29:10
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