夕日
家畜人

   


今日も やつれた神経が 
のびのび している
僕のやつれ やせた感情が 
のびのび鳴いている
あぁ、昔好きだったあの子は
いつも校舎の屋上から 空を見てたっけな
しずんでゆく 夕日が 
きれいな まん丸な みかんのようだったな



いやはや 生き急いできた
健康な神経は やつれ
のびのび している いやはや
生き急ぎすぎた
もう手のひらから 健康で 
きれいな過去はこぼれてゆく
こぼれてゆく ぽろぽろ してゆく
感情がなくなってゆく 夕日は
いつも きれいな 
まん丸な みかんのようだったな



いつも テンポがいい僕の人生というやつは
悲惨な生活を連れてきて 
あくせくあくせく して
あくせくあくせく
辛苦を舐め 働き 機械のように 働き 働き
汗を流しては そのぶん 涙をながすやつだ
思えば 昔はよかった
昔は 健康で 立派で 
純粋だった



思いだすのは 自分を好きだったこと
あの子のこと 純粋な 
陽気な 思春期のこと
まだ勉学以外の つらさを知らぬ青春
愉快なひと時 青春時代のこと
あぁ 思いだしてばっかりだな 
僕の人生は



あぁ あの頃の夕日は きれいな 
まん丸なみかんだったな




今は汚い みかんみたいな夕日に 見えて
生活に やつれ やせた 僕の神経はのびのびして 
のびのび鳴いて
神経だけがのびのびして あぁ 夕日の下
ばっ と手足を床の上 なげだしている
けだるく なげだしている
なげだしている


     ◎


あのね なぜだか、昨日の夕日を見て
涙がでちゃったよ




自由詩 夕日 Copyright 家畜人 2023-11-09 11:59:21
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