僕らの夜
塔野夏子

僕らの夜をめぐる熟れた遊星
僕らの夜に降りそそぐ甘やかな流星

僕らはいつか来る終わりを
待ち望む気持ちを
ひそかに淡く抱きながら
今ひとときを寄りそう

銀の小さなフレームの中の
二人の写真
其処に閉じこめられた時だけが
やがてかなしく輝くことを知っていても
そのかなしみもたやすく擦り切れてしまうと
知っていても

終わりはきっと
僕らが望んでいたようなかたちでは
訪れないと
予感してしまっていても

今ひととき
僕らの夜を熟れた遊星はめぐり
僕らの夜に甘やかな流星は降りそそぐ
僕らは(僕とは 君とは 誰)
いつか来る終わりを
待ち望む気持ちを
ひそかに夢のように淡く抱きしめる



自由詩 僕らの夜 Copyright 塔野夏子 2023-10-29 08:57:23
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