梱を解く
草野春心



  梱を解く
  潮風に鳴る 缶ごみ
  いろどる 比喩たちの面皰

  梱を解く
  あなたの二枚の手を思う
  ひらたく延ばした糊状の意味

  荷はひろげられたまま
  わたしの口は開いたまま
  あなただけが去った 港町の奥へ
  からっぽの軀を 心の滓が鳴らした



自由詩 梱を解く Copyright 草野春心 2023-10-23 22:59:08
notebook Home